台湾茶カフェ マナミニョンヌ店主
高橋 司子(たかはし もとこ)
幼少期からお茶の世界が身近な環境に育つ。
東阿部流煎茶教授。
台湾茶、日本茶の他に紅茶にも精髄している。
「一杯のお茶の癒しや幸せを周りの方に一瞬でも
味わって欲しい」という思いから
平成28年10月に台湾茶専門カフェオープン。
一杯のお茶
昔、父方の祖母の家にお抹茶の先生がいらして、一緒に習わせてもらっていた事がある。
ある時私は、今でいう「おもてなし」をしようと、祖母に頼んでご飯を炊いてもらい、
炊立てのご飯に塩だけをつけた小さなおにぎりを、お弟子さん達にふるまった。
幼稚園児の握った真ん丸な塩にぎり(当時、三角おにぎりは作れなかった)を、
お茶請けに出されたお弟子さん達は、内心はどう思ったのか今となっては知る由もないが、
皆さま喜んで褒めてくれた事を覚えている。
母方の祖母の家の隣には、煎茶の先生が住んでいらした。
小さな頃からよく遊びに行って、素敵な器で美味しいお茶とお菓子を出していただいた。
子供用にプラスチック製の器を使われる方も多いと思う。
だが私は大人と同じ器でないと怒ってしまう子供だったようだ。
「大切に触って、割ったりしないのに・・」と、憮然とした心持ちだったのを微かに覚えている。
大人になってからは本格的に煎茶を習い始め、二年半で教授の資格を取り、以来15年間続けた。
従弟の務めていた会社に交換留学という形で日本に来ていた、スウェーデン、ポーランド、フィンランド、スペインの方々を、
ユネスコ主催のお茶会に(ティーセレモニーという)お連れした事がある。男性二人、女性二人の四人組だったが、道ですれ違う人達が皆、
振り返るような美男美女達で、私は二人の女性に自分の白と黒の振袖を着せた。日本の文化に触れて、彼らはとても嬉しそうだった。
この頃からいつか日本茶のカフェを開き、世界に日本茶を発信しようと漠然と考えるようになった。
その後、独学で紅茶を勉強し、十年前、札幌の老舗台湾茶カフェのオーナーと出会いがあった。
とても可愛らしいオーナーと、家族経営のほっこりとした雰囲気が気に入り、横浜から数年通った。
そして現在横浜でひっそりと気まぐれ台湾茶カフェを開いている。
お茶というものを勉強し始めてから、三十年が経った。
製法が違うだけで、日本茶も紅茶も台湾茶も元々同じ茶葉からできている。
つい先日、煎茶の先生が九十三歳で旅立たれた。
私は小さくなった綺麗なお顔に「おばちゃま(先生)、日本茶じゃなくてごめんね。でも同じ葉っぱだから、繋いでいくからね。」と囁いた。
2018年10月
台湾茶の魅力
私が思う台湾茶の魅力は、先ず、発酵茶であり、身体を温めてくれることです。
うちでお茶を飲んですぐにお客様達が「何だか浄化されたみたい」、「ポッポッしてきた」等とおっしゃいます。
もう一つの魅力は早目に体感できることです。
そして、保存がきき(常温で5年位)、少ない茶葉で沢山飲めることです(5グラムで2~4リットル位)。
そんなに沢山飲めないとはじめはおっしゃっても、お菓子を楽しみながら、いつの間にかお一人様1~2リットル飲まれています。
美味しいお茶で、癒しの時間と心も体も幸せになられること、願っております。
店主